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コロナとSARSと東洋医学
昨日は第28回はり師きゅう師国家試験でした。
全国の受験生のみなさん、お疲れさまでした!
私たち教員も朝から関東地区の受験会場である大正大学に集合。
町田からはかなり遠いので電車を乗り継いで1時間半ほど
(寺田は久しぶりの朝5時起きでしたー)
3年生のみんなを送り出し、試験が終わるまでまであちこちウロウロ。
(そのお話はまた後日)
今日は学校が通常授業の日。
早速3年生が自己採点の報告に来ています
今年は合格率高めの年となりそうな感じですが…さてさて結果やいかに?
(合格者発表は3月28日(火)の午後2時に厚生労働省のHP等で発表されます)
話題は変わって今日は巷を騒がしている新型コロナウィルスのお話。
各種報道では毎日のように感染者数や患者さんがお亡くなりなった話が流れてきて不安になることばかり
最近では町田のお隣、相模原の病院の看護師さんの感染が報じられて
通院やお見舞い等が出来なくなっていたりして非常に身近な話題になってきました
報道を見ていると思い出すのは2002~2003年に同じく大騒ぎになった
SARS(重症急性呼吸器症候群)のこと。
当時、中国の広東省を起源として肺炎の世界的規模の集団感染が発生しました。
この時の原因も当時の新型コロナウィルスであったことが判明したわけですが、
何だか経過が似てますよね?
(その後、2012年にも中東を中心としたこれまたコロナウィルスによる
MARS(中東呼吸器症候群)っていうのもありましたけどね…)
さてこのSARS、WHOの統計によると世界32か国で8,400例以上の患者さんが報告されていますが、
全世界でのSARS死亡率が11%にも上ったのに対し、
起源となった中国の広東省では3.8%に止まったというお話をご存じでしょうか?
この裏に東洋医学、とりわけ中医学の権威とされる「老中医」たちの働きがあったと言われています。
彼らはSARSに対する中薬処方をいち早く確定し、
それにより流行の拡大を食い止めたとされています。
西洋医学が原因の特定まで何もできなかったにもかかわらず、です。
ここに東洋医学と西洋医学の考え方の差があります。
少し専門的な話になりますが、
出来るだけわかりやすく書いてみますのでお付き合いくださいね
①「病名」と「証(しょう)」、診断の仕方が違う
西洋医学ではさまざまな診断方法を用いて、病気の原因を探し出し、
「病名」をつけることで治療方法を決定します。
この「病名」って、
1度ついてしまうと誤診など余程のことがない限り変わることはありませんよね?
東洋医学は「証」という概念で病気を考えます。
「証」はちょっと説明が難しいですが、「ある一定の症状の集まり」という感じでしょうか。
患者さんを「四診(ししん)」と呼ばれる診察方法でみていき、
出来るだけたくさんの症状(情報)を集めます。
それをいろいろなカテゴリーに分けていき、どの領域に偏っているかによって「証」を決定します。
場合によっては複数の「証」が付く場合もあります。
なので、患者さんの症状が変化すれば、「証」もその都度変わる可能性があります。
「証」に対する治療法、すなわち「処方」はあらかじめ決まっているので
「証」が変われば、治療法も変わります。
②治療の考え方が違う
東洋医学には「同病異治(どうびょういち)」や「異病同治(いびょうどうち)」という考え方もあります。
例えば一口に「風邪」と言っても熱風邪や悪寒のする風邪、咳が出るタイプや鼻水タイプ、
頭痛があったりなかったり…と症状は人によってまちまち。
同じ病であっても、症状が違えば「証」が違うので治療法は変わりますし、
逆に違う病であっても、そこに似通った症状や共通の症状が出ていれば、
「証」が同じになるので治療法は同じになるんですね。
症状の集まりが「証」を決め、「証」が治療法を決定するんです。
だからその時その時の患者さんの状態に応じて「証」が変わる。
同じ病気でも人によって症状は違って当たり前。
だから治療法も違って当たり前。
東洋医学がオーダーメイド治療だと言われるゆえんはここにあります
西洋医学で「病名」が決定すると治療が画一的に行われるのとは違うのです。
(いくつかの治療法から選択することはできますけどね)
何となく東洋医学が西洋医学に先駆けてSARSを食い止めた理由、
お分かりになってきたでしょうか?
そう。
東洋医学はSARSの「症状」をみて「証」にあてはめることで治療法が決定できたから
原因が特定できるまで治療ができなかった西洋医学より早く対応できたというわけなのです
これはSARSだけではなく、日常の臨床でも同じこと。
西洋医学でいくら検査しても異常が発見されずに診断できなかったものが、
東洋医学で治療できるのはこうした診断治療システムがあるからなのです。
(この診断治療システムを「弁証論治(べんしょうろんち)」といいます)
ちなみにはりきゅうでもお薬の代わりにツボを配合するだけなので
同じ治療システムを使いますよ
さて今回の新型コロナに対してはどうでしょうか?
残念ながらSARSの頃に活躍した「老中医」の先生方は皆さんご高齢だったため、
今では多くの高名な先生方が亡くなられてしまいました
しかし中国ではこのSARSをきっかけに東洋医学の見直しがされるようになったのも事実。
これからもこうした新しい感染症が次々に出現してくる時に東洋医学が必要になるはず。
次の世代に彼ら「老中医」が遺したものを引き継いでいってほしいものです。
1日も早い「新型コロナ」の収束を願ってやみません。
とりあえず今の私たちに出来ること。
数日前からマスクはようやくドラッグストア等で手に入るようになりましたが、
何といってもまずは自分の体調を整えておくことや
手洗い・うがい・マスクといった基本的な予防策を講じておくことが大切ですよね
何も新型コロナだけでなく、インフルエンザやノロなど感染症は他にもたくさんあるのですから…
(文責 撮影/寺田)
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3月1日(日)10:00~12:00←今週末はコチラ
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3月7日(土)10:00~12:00
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