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東洋医学のおはなし~精の病理~
精の病理の本質は、精の不足です。
精虚という病態です。
腎に貯蔵されている精を腎精というため、腎精不足ともいいます。
腎精不足になる原因は、食生活の乱れ・過労・出血・長患い・体質的な要因などが考えられます。
精が枯渇してしまわないようにするためには、後天の精で補う必要があります。
後天の精は飲食物を摂取することで得ることができます。
食べる量が極端に少なかったり、食べていたとしてもバランスの崩れた食事など、食生活が乱れると後天の精を充分に作り出せずに精虚となります。
長い間病気を患ったり、過労が続いたりすることで、気が消耗していきます。
精は気を化生していますので、気の消耗は精の量の減少にもつながってしまいます。
また、同じような理由で、出血や下痢、大量の発汗などで血や津液などの生理物質が失われると、それを補おうと精もどんどん消費されていきます。
多産や堕胎、性生活の乱れなども精の損傷に大きく関係します。
症状は、精が担う領域の不調です。
精の大きな役割は、成長・発育・生殖・骨や脳の滋養でした。
成長不良や発育不良、また精の不足から起こる気血の不足によって身体の抵抗力が落ち、虚弱体質や風邪をひきやすいなども起こってきます。
これは、両親から受け継ぐ先天の精の不足によるものが大きく関係しています。
生殖機能へ影響が出ると、不妊症や月経の不調などが起こります。
骨の滋養が不十分だと、足腰がだるく、軟弱化してしまいます。これを腰膝酸軟といいます。
脳の滋養が不十分だと、耳鳴・難聴・眩暈・頭髪の脱毛・健忘などが起こります。
年齢を重ねるごとに精の量や機能は徐々に減退していきます。
ですが、上にあげたような原因を繰り返したり、不摂生によって充分に補わないままにしていると、早老(通常より早い老化)が起こってしまう可能性があります。