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東洋医学のおはなし~切診~
今回は、触覚を利用した切診を紹介したいと思います。
切診とは、指や手のひらで直接患者さんの身体各部に触れ、心身の状態を診る診察方法です。
施術者側の触覚と患者さんが施術者に触れられた時に感じた感覚によって判断します。
痛みや硬さ、へこみやふくらみ、緊張や軟弱、冷えや熱感、乾燥や湿り気などいろいろな反応が見られます。
身体の状態によって出る反応の場所や強さは変わります。
反応が出てくるところは、臓腑や経絡と関係があるので、どこの臓腑や経絡が不調なのかを推察できます。
患者さんが訴えている症状とは違う場所に痛みや不快感などの反応が出ていることはたくさんあります。
例えば、施術の前は押されると痛かった腰が、鍼や灸を受けたあとは痛みが軽減するという変化はイメージしやすいと思います。
その他に、腰が痛い方というのはお腹や足など腰以外にも押されると痛い部分があるという場合があり、鍼灸施術によってそれも改善していくことができます。
切診による反応は、患者さんの病を見極めることと、施術をすることで反応に変化が見られるかどうかで病の見極めが合っていたのかどうかの確認ができるということです。
切診の中のひとつに腹診があります。お腹の状態を診ていくものです。
この腹診は中国で発祥して、日本で発展してきました。
一言に腹診と言っても、治療のやり方や流派によって考え方が違います。
ここでは教科書に載っている腹診について一部紹介します。
まず、病気のない人のお腹は、「全体が温かく、適度な潤いと艶があり、上腹部が平らで下腹部がふっくらとし、適度な弾力があり、圧痛、緊張、硬結、動悸などがない状態の腹である」とあります。それ以外のときは病があると考えることができるんですね。
お腹を大きく5つに分け、肝・心・脾・肺・腎の五臓を割り当てています。
肝はへその左、心はへその上、脾はへその辺り、肺はへその左、腎はへその下となっています。
それぞれの場所を押すと硬かったり、痛かったりした場合、その臓に何か不調がある可能性があるというわけです。
もちろん、腹診ひとつで病を見抜くのは至難の業なので、望診・聞診・問診から得られた情報と組み合わせて治療方針を考えていきます。
一例ですが、イライラしたり精神的ストレスがあったりした時には、関係の深い肝の区域、へその左あたりを押さえられると痛みや脈打つような感じが出現します。
その時に、肝を調節するような鍼を施すことで、痛みや拍動が緩和すると治療の方向性は合っていたといえるでしょう。
鍼をやっていてイライラやストレスが減ってきたということはなかなか判断が難しいですが、お腹の痛みが減ったというのは患者さんにとってもわかりやすいですよね(^^)/