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なぜ傘は変わらないのか|雨の日から考えるソーシャルワーク
梅雨入りし、雨が続く季節になってきました。
この時期になると、毎日のように傘を使います。
最近は透明なビニール傘だけでなく、軽量化されたものや、風に強いもの、おしゃれなデザインのものなど、いろいろな傘がありますね。
でも、考えてみると、傘という道具そのものの形は、昔からあまり変わっていません。
そもそも傘って、結構不便です。
片手はふさがるし、自転車にも乗れなくなります。人混みでは周囲に気を遣うし、時には人に当たってしまうこともあります。当然ですが、使った後は濡れています。
乗り物やスマートフォン、パソコンなど、いろいろな道具が進化している中で、傘は「昔から大きく変わらない道具」の一つかもしれません。
雨の日は不便で、少し面倒です。
そして、雨の日の外出は、普段より少し大変になります。
ただ、その「少し大変」は、人によって大きく違います。
例えば、車いすを利用している人、杖を使っている人、子どもを抱っこしている人にとって、雨の日の移動はさらに負担が大きくなります。
濡れた路面は滑りやすく、周囲の傘によって視界も狭くなる。
「雨の日に移動できる」ということは、実は誰にでも簡単にできることではないのかもしれません。
ソーシャルワークでは、こうした困難を「本人の問題」だけで捉えません。
その人が課題を抱えているから困っているのではなく、社会や環境の側に、参加しづらさを生み出している要因はないかを考えます。
これは「社会モデル」の視点とも重なります。
例えば、駅に屋根が少ないこと。
滑りやすい床。
狭い歩道や水たまり。
こうした環境条件が重なることで、「雨の日は外に出ない」という選択につながる人もいます。
そして、外出機会の減少は、孤立にも直結します。
特に高齢者や障害のある人にとって、地域とのつながりは、単なる「用事」ではありません。
「誰かに会うこと」
「顔を見られること」
「社会とつながっている感覚を持つこと」
そうした意味も含まれています。
雨の日が続くことで閉じこもりが増え、生活不活発や孤独感につながることもあります。
一方で、環境や道具が整えば、人は外に出やすくなります。
例えば、アーケード商店街や大型ショッピングセンターは、雨の日でも歩きやすく、人も集まります。
つまり、「その人が外出できるかどうか」は、本人の努力だけではなく、環境によって大きく左右されているとも言えます。
傘という道具が長い間大きく変わらなかった背景には、「不便だけど、これで十分」という多数派の感覚があったのかもしれません。
でも、本当に“十分”なのかを問い直すこと。
誰にとって不便なのかを考えること。
それは、ソーシャルワークの視点にもつながっているように思います。
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