ソーシャルワーク関連作品紹介/ 作品(映画) 『前科者』

アルファ医療福祉美容専門学校 広報企画課

このブログの趣旨等については、ぜひ前回の記事をご覧ください!
映画や小説から考えるソーシャルワークの視点

\あらすじ/
「罪を犯した人は、やり直すことができるのだろうか」
保護司として活動する佳代(有村架純)は、更生を目指す人々と真摯に向き合い続けている。障壁を乗り越え社会に戻ろうとする人、過去から逃れられない人、そして周囲から信頼されることなく生きる人たち。
そんな日常の延長線上で起きた1つの事件。
犯した罪は消えない。けれど、その人自身まで否定されなければならないのだろうか。
『前科者』は、更生保護というあまり知られない世界を通して、「人を信じること」と「共に生きること」の難しさを描く。
事件の真相を追う一方で、その奥には社会福祉や地域共生について考えさせられる視点が丁寧に織り込まれている作品。

※保護司とは…国から委託された非常勤の国家公務員。(民間のボランティア)
基本的には無給。犯罪や非行をした人の立ち直りを支える目的がある。


\この作品と出会ってほしい人/
・更生保護に関心を持っている人
・保護司や地域定着支援について知りたい人
・罪を犯した人のその後に目を向けてみたい人


\この作品が問いかけるもの/
この作品は、“排除”と“包摂”の両方を描いています。
一度犯罪を犯した人は、その人自身ではなく“前科者”という言葉だけで見られてしまうことがあります。
いわゆるラベリングです。
そして、そのラベルを剥がすことは簡単でありません。本人がどれだけ変わろうとしても、周囲の見方はすぐには変わらない。その現実が、この作品には静かに描かれています。

では、そこから先は何によって分かれるのでしょうか。
助けを求められること、手を差し伸べてくれる人がいること。
そうした関係が大きな意味を持つのかもしれません。
ただ、その一方で考えたいこともあります。そもそも助けを求められること自体が難しい人もいるのではないでしょうか。
社会的に弱い立場に置かれた人ほど支援を必要としているはずです。しかし実際には、その支援へたどり着けない人も少なくありません。制度があることと、制度が届くことは同じではない。そのことを、この作品は更生保護というテーマを通して私たちに投げかけているように感じます。

また作中には保護司も登場します。
保護司は国から委託された非常勤の国家公務員でありながら、その活動は基本的に無償です。交通費などは支給されますが、利益を得るための仕事ではありません。
なぜ無償なのか。
もし有償であったら何が変わるのか。
答えを出す必要はないのかもしれません。ただ、その問いを持ったまま作品を見返してみると、また違った景色が見えてくると私は思いました。
そしてもう1つ。
更生とはなんでしょうか。
社会に戻ることなのか。再び信頼を得ることなのか。それとも、自分自身を取り戻すことなのか。
誰のために更生するのかという問いも含めて、この作品は簡単な答えを用意していないと受け止めました。
だからこそ、見終えた後にも考え続けてしまうのかもしれません。

 

\心に残った一言/
「法や福祉だけではあなたを助けられない」

初めて聞いたときは、「それではどうすれば良いのだろう」と戸惑いました。けれど考えてみると、この言葉は法や福祉を否定しているのではなく、その限界を示しているようにも思えます。
どれだけ制度が整っていても、それだけで人が孤立から抜け出せるわけではありません。支援を受け取ること、人とつながること、誰かに信じてもらうこと。そうした要素が重なって初めて支えになる場面もあります。
法も福祉も大切です。それは間違いありません。
ただ、それだけでは届かない部分も確かに存在する。
この言葉は、その事実を突きつけているようでした。
皆さんなら、この言葉をどのように受け止めるでしょうか。

 

なお、社会福祉士・精神保健福祉士通信科のyoutubeでは、ソーシャルワークの実践的なお話を紹介しています。
今回ご紹介した作品に関連する更生保護や地域定着支援などに対するソーシャルワーク実践の動画もあります。
決して他人事ではない社会の問題に、少しだけ目を向けてみませんか。

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2026年9月