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鍼灸学科

東洋医学のおはなし~津液の滞り~

前回は、津液が不足している状態を紹介しました。

今回は、津液の滞り(痰湿)についてです。

 

津液は停滞したり凝集したりすると本来の生理作用が発揮できなくなります。

人体にとって不要な物質となった津液は、病理産物となり、その形態に応じて湿・水・飲・痰と呼ばれます。

これらは、形態に違いはありますが、共通の特徴を持っていて、明確に区分することができないとされています。

なので、水湿・水飲・痰湿・痰飲などと呼ばれます。

 

痰湿ができる原因はいくつかあります。

・津液を正常に代謝することができない。

津液の代謝には脾・肺・腎のはたらきが欠かせません。これらの臓腑の機能が失調すると痰湿が溜まっていってしまいます。

脾は飲食物から津液を作り出すはたらきがあり、その機能が失調すると痰湿を作り出してしまうという特徴も持っています。

また、津液を全身に流すためには気のめぐりが大切で、肝の疏泄という作用も関わります。

肝の機能が失調して、気のめぐりが悪くなる(気滞)と津液の運行が阻害されてしまいます。

・水分の過剰摂取

多飲など水分の摂りすぎにより津液が必要以上に体内に存在すると、痰湿が作られてしまいます。

 

・多湿な環境、雨に濡れる、頻繁に水に浸かるなど

生活環境、気候、仕事などによって痰湿が作られやすい状況になることもあります。

 

臓腑のはたらき、飲食物の過不足や質、そして環境などさまざまな要因が重なって病態は発生しています。

ひとつのことに注目するのではなく、いろいろな面に目を向けていくことが治療にとって大事なんですね!